
キヤノンが2021年に発売した望遠ズームレンズ「RF 100-400mm f/5.6-8 IS USM」は、その発表当初、望遠端の開放F値がF8であることから、一部で懸念の声が聞かれました。ミラーレスカメラの普及に伴い、小型で手頃な価格のレンズへの需要が高まる一方で、明るい開放F値も求められるという相反する要望がある中で、このレンズは当初、市場に受け入れられるまでに時間を要すると見られていました。
しかし、時が経つにつれてRF 100-400mm f/5.6-8 IS USMは、コストパフォーマンスを重視するユーザーや、小型・軽量・手頃な価格の望遠レンズを求める写真家にとって人気の選択肢となりました。購入者からは高い満足度が聞かれるようになり、その価値が再評価されています。
そしてこの度、ソニーが「FE 100-400mm f/5.6-8 OSS」をリリースしました。この新製品は、キヤノンのRF 100-400mmと光学性能、サイズ、重量、価格の点で非常に近い仕様を持つ、直接的な競合製品として注目されています。
この記事のポイント
- キヤノン RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMは、小型・軽量・手頃な価格で評価を得ています。
- ソニー FE 100-400mm f/5.6-8 OSSは、キヤノン製品と多くの点で類似した競合レンズとして登場しました。
- ソニーのFE 100-400mm f/5.6-8 OSSは防塵防滴性能を備えていますが、キヤノンのRF 100-400mm f/5.6-8 IS USMにはこの機能がありません。
- 両レンズのMTFデータに基づく光学性能は非常に近い水準にあり、価格を考慮すると優れた選択肢です。
- ソニー製品は予約受付中で、キヤノン製品よりも若干高い価格設定となっています。
Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMの評価
2021年の発表時、Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMの望遠端F8という開放F値は、多くの議論を呼びました。しかし、ミラーレスカメラシステムの登場により、小型で手頃な価格のレンズへのニーズが高まる中、このレンズは時間をかけて市場に受け入れられていきました。現在では、予算を重視する写真家や、機動性を求めるユーザーにとって、手頃な価格で小型・軽量な望遠ズームレンズとして非常に人気のある選択肢となっています。このレンズを購入して後悔したという声はほとんど聞かれません。
Sony FE 100-400mm f/5.6-8 OSSが競合として登場
ソニーはCanonの直接の競合製品として、FE 100-400mm f/5.6-8 OSSを発表しました。この両レンズは光学性能、サイズ、重量、価格など、多くの点で非常に近い特性を持っています。表面上の大きな違いの一つは光学設計で、Canonは12群9枚、Sonyは10群15枚の構成を採用しています。しかし、この光学設計の違いが消費者にとって実用上大きな差となる可能性は低いとされています。
両レンズの主な違い:防塵防滴性能
Sony FE 100-400mm f/5.6-8 OSSは、しっかりとしたレベルの防塵防滴性能を備えています。一方、Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMにはこの防塵防滴性能がありません。Canonの次期バージョンでは、この機能の追加が期待される可能性があります。Canonは、このレンズのターゲットとなるユーザーが防塵防滴機能のないカメラボディを使用すると考えていたのかもしれませんが、実際の市場の動向は必ずしもそうではありませんでした。
MTFチャートから見る光学性能比較
ここで比較するMTFチャートは、各メーカーから提供されたものであり、独立した第三者機関による測定ではない点に留意が必要です。測定方法やデータの提示方法が異なる場合があるため、その点を踏まえて参考にすることが重要です。MTFチャートは、新しいレンズが発表された際に、光学性能の初期的な目安として写真愛好家の間で注目されます。ただし、これはあくまで光学性能の一部を示すものであり、オートフォーカス性能、手に持った感触、実際の撮影環境での耐久性など、レンズの総合的な評価には結びつきません。これらを踏まえた上で、両レンズの光学性能はかなり匹敵する水準にあると評価されています。
Sony FE 100-400mm f/5.6-8 OSSの光学特性
100mmでの性能を見ると、Sonyはフレーム中央においてCanonをわずかに上回る描写を示します。開放F値でのT/S(タンジェンシャル/サジタル)曲線からは、非点収差が少なく、フレーム中央でよりクリアなボケが期待できるとされています。400mmでは、フレーム全体で「ディップ・アンド・リカバリー」と呼ばれる興味深い曲線を描きます。中央のコントラストは良好ですが、中央から外側に向かって一度低下し、中域で再び向上するという特性です。これは、主要な被写体がフレームの中央に配置されることが多いという設計思想に基づいていると推測されます。特に400mmの中域において、微細な描写の点でSonyがCanonよりもわずかに優れる点があります。ただし、四隅に向かっては性能が低下し、その度合いはCanonよりも大きくなるとされています。
Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMの光学特性
100mmでは、フレーム全体にわたって解像度とコントラストが緩やかに低下する特性が見られます。これは、中央から四隅にかけて予測しやすい性能低下であり、良い点と評価されています。解像度の低下はコントラストよりも緩やかです。400mmでも、Canonは解像度とコントラストが緩やかに低下する傾向を示します。技術的には四隅にかけてSonyよりも優れるとされていますが、実際の撮影においてその差が認識できるほどではないと見られています。CanonとSonyのエンジニアによる設計思想は対照的ですが、どちらかが誤っているわけではありません。
総合的な光学性能
100mm域での性能を見ると、Canonは予測しやすい光学性能を持つ点で優位性があるかもしれません。筆者は個人的に「ディップ・アンド・リカバリー」方式よりも緩やかな性能低下を好むと述べています。400mm域では、Sonyが中心から中域にかけて微細な描写でCanonをわずかに上回るとされます。しかし、この差が実際の撮影で明確に認識される可能性は低いと見られています。MTFデータからは、これら2つのレンズの性能は非常に近い水準にあり、どちらのレンズを選んだとしても、購入者は手頃な価格で光学的に満足できる100-400mmズームレンズを手に入れることができるでしょう。
価格と入手性
Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMの希望小売価格は$749 / €704 / £719/126,500円(税込)で販売されています。
Sony FE 100-400mm f/5.6-8 OSSは現在、$848 / €899 / £799/14万円前後予想で予約受付中であり、2026年9月9日より出荷が開始されると報じられています。
編集部コメント
ミラーレス時代における望遠ズームレンズの選択肢として、キヤノンのRF 100-400mm f/5.6-8 IS USMとソニーのFE 100-400mm f/5.6-8 OSSは、多くの写真家にとって魅力的な存在となるでしょう。両レンズとも、小型・軽量かつ手頃な価格帯でありながら、高い光学性能を実現しており、そのコストパフォーマンスは特筆すべき点です。
光学性能はMTFデータ上で非常に拮抗しており、実写での差を明確に識別することは難しいかもしれません。しかし、ソニーのFE 100-400mm f/5.6-8 OSSが備える防塵防滴性能は、Canon RF 100-400mm f/5.6-8 IS USMにはない大きなアドバンテージです。特に、屋外での撮影が多いユーザーにとっては、この点が選択の重要な決め手となる可能性があります。
価格面ではソニー製品がやや高価で、出荷開始も先になりますが、防塵防滴を重視するならその価値はあるでしょう。一方、キヤノン製品は既に市場で実績を積み重ねており、手頃な価格と安定した性能が魅力です。ユーザーは、自身の求める性能、特に防塵防滴の必要性と予算に応じて、最適な選択をすることが求められます。
本記事は海外メディアで公開された情報を参考に、日本向けに内容を整理・要約しています。
参考記事:Sony FE 100-400mm f/5.6-8 vs Canon RF 100-400mm: Which Budget Telephoto Wins?
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